茨城県ひたちなか市の社労士が年金や労務管理をサポートします

障害年金

障害年金の受給に向けた一連のサポートを行います

障害年金について

1.障害基礎年金と障害厚生年金の違いは?

障害基礎年金

  • 初診日に国民年金の被保険者でなければならない
  • 国民年金の被保険者は、20歳以上の無職者や学生、自営業(第1号)もしくは扶養されている配偶者(第3号)をいう
  • 障害基礎年金には1級と2級がある

障害厚生年金

  • 初診日に厚生年金の被保険者でなければならない
  • 厚生年金の被保険者は、会社員や公務員等(第2号)をいう
  • 障害厚生年金には1級、2級、3級、障害手当金がある

2.障害年金請求時の初診日とは?

障害年金請求時の初診日

  • 初診日は障害の原因となった病気やケガで初めて医師等の診療を受けた日
  • 最初の診察で病名がはっきりしないことや、後に診断名が変わることもある
  • 病名が確定した日ではない
  • 初診日がいつかによって受給できる年金が決定される
  • 初診日の前日において、保険料納付要件を満たしていることが必要となる
  • 原則として、初診日から1年6カ月経過した日が障害認定日となり、障害の状態を審査する日となる

3.障害等級の目安

1級(障害厚生年金・障害基礎年金)

  • 他人の介護がなければほとんど日常生活ができない
  • 移動はベット周辺に限られており,ほとんど寝たきり状態のイメージ
  • 植物状態、両下肢全廃など

2級(障害厚生年金・障害基礎年金)

  • 必ずしも他人の助けを必要としない
  • 日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることが難しい
  • 半身麻痺、人工透析、咽頭全摘出など

3級(障害厚生年金)

  • 労働に著しい制限を受けている
  • 勤務時間を制限したり,軽労働へ転換しているなど

4.請求の種類
(本来請求、遡及請求、事後重症請求)

障害認定日請求(本来請求)

    初診日から1年6か月が経過した障害認定日における診断書を取得し、その日から1年以内に請求します。障害認定日の翌月から受給できます。

障害認定日請求(本来請求)

障害認定日請求(遡及請求)

    初診日から1年6か月が経過した障害認定日から1年以上経過した後に、診断書を取得し、障害認定日にさかのぼって請求します。障害認定日の翌月から5年分を限度として受給できます。診断書は、障害認定日の診断書と現在の診断書の2枚が必要になります。

障害認定日請求(遡及請求)

事後重症請求

    障害認定日の時点では症状が軽く障害等級に該当しなくても、その後に症状が重くなったときに請求する方法です。ただし、65歳の誕生日の前々日までに現在の診断書を取得し、提出しなければなりません。障害年金請求日の翌月から受給できますが、過去にさかのぼっての受給はできません。

事後重症請求

5.障害年金の相談事例

【事例1】知的障害と発達障害が併存している場合

診断書の傷病名発達障害
受給した年金の種類障害基礎年金2級
年齢・性別40歳代・女性
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発達障害で障害年金を請求したいが、初診日の証明が入手できないと相談されました。最初の病院は20代の頃。20年以上経過しているためカルテは廃棄され、受診状況等証明書を発行してもらえません。2番目の病院は廃業していました。子供の頃からの経緯を聞くと小学校1年生から6年生まで支援学級にいたことがわかり、知的障害を初診日で請求する方向としました。

厚生労働省の文書に「知的障害と発達障害はいずれも20歳前に発症するので、知的障害と判断されたが障害年金の受給に至らない程度の者に、後から発達障害が診断され障害等級に該当する場合は、原則として同一病院として扱う」とあります。

今回の場合、軽度な知的障害(3級程度)であることを診断書その他の書類で明らかにしました。軽度な知的障害が認められれば初診日は生まれた日となるため、20歳前障害基礎年金の請求として受診状況等証明書を提出しなくても手続きできます。事後重症請求をして障害基礎年金2級が決定しました。

知的障害について
原因 染色体異常や生まれた後の事故などさまざま。先天的要因、妊娠時期要因、後天的要因があり、複雑にかかわっていることもあり原因が不明なケースもある。
症状 幼少期から青年期である18歳未満に出現し、日常生活を送るうえでの必要な能力が平均以下で、読み書きや数の概念、金銭や行動の管理など知的機能と適応機能が乏しい。
年金請求 初診日は出生日となり、20歳前障害基礎年金の請求となる。
発達障害について
原因 生まれつきの脳機能の生涯と考えられている。それ以外にも、遺伝や出生後の外傷、感染症に起因する考えもある。
症状 言葉の発達が遅い、他者とのコミュニケーションが築けない、集団生活が苦手、特定分野の勉学が極端に苦手、こだわりが強い、融通が利かない症状が現れる精神障害の総称です。
年金請求 自覚症状があり、初めて診療を受けた日が初診日となり、20歳前障害基礎年金、20歳以降の障害基礎年金、障害厚生年金での請求もあり得る。

【事例2】強迫性障害で障害年金を受給できるか?

強迫性障害で通院している方からの相談。「ネットで調べると強迫性障害は障害年金の対象外とでてくるが、本当に受給できないのか?」(強迫性障害とは、強い不安や恐怖が過剰に付きまとい日常生活に支障をきたすもので、不安障害と診断されることもある。)
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障害年金認定基準によると「神経症にあってはその症状が長期間持続し、一見重症なものであっても原則として認定の対象にならない」と記載されており、強迫性障害や不安障害、適応障害などの神経症は認定対象外です。精神の障害年金申請時に提出する(医師が記入する)診断書には障害の原因となった傷病名およびICD-10コードを記入する欄があり、神経症を示す「F4(F40番台)」は認定対象外の傷病となります。

  • F40:恐怖症性不安障害
  • F41:その他の不安障害
  • F42:強迫性障害<脅迫神経症>
  • F43:重度ストレスへの反応および適応障害
  • F44:解離性(転換性)障害
  • F45:身体表現性障害
  • F48:その他の神経症性障害

ただし、ICD-10コードが「F4(F40番台)」の傷病であっても、症状が統合失調症や妄想障害、うつ病等の気分障害の病態を示しているときは対象になります。これは、障害年金申請時に提出する診断書に付記されている「記入上の注意」にも記載されているので、主治医によく確認してから診断書を依頼してください。

ICD-10コードとは

精神の障害年金申請用の診断書には必ず記入しなければなりません。ICDは国際疾病分類と呼ばれ、WHO(世界保健機関)が作成した分類で、疾病、傷害および死因の統計を国際比較するために用いられています。

【事例3】複数障害で併合認定(眼3級+精神3級)

診断書の傷病名弱視と軽度な知的障害
受給した年金の種類障害基礎年金2級
性別男性
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先天性の疾患で両眼とも弱視であり、軽度な知的障害(療育手帳C)の方です。眼も知的障害も障害等級2級には該当しそうにありませんでしたが、障害基礎年金での請求なので3級はなく、2級以上が必要です。眼の診断書と精神の診断書を用意して請求したところ、どちらも3級相当と認められ併合認定で2級が決定しました。

6.障害年金の受給実績(傷病名および等級)

傷病名 診断書の種類 受給した年金 年代
肝硬変⇒肝細胞がん 肝疾患 障害厚生年金3級 50代
糖尿病⇒慢性腎不全(人工透析) 腎疾患 障害厚生年金2級 60代
中咽頭がん⇒摂食障害 そしゃく嚥下機能 障害基礎年金2級 50代
咽頭デスモイド そしゃく嚥下機能 障害基礎年金2級 20代
緑内障 障害厚生年金1級 60代
大動脈弁閉鎖不全症 循環器疾患 障害厚生年金3級 50代
全身性エリテマトーデス(SLE) 肢体 障害基礎年金1級 50代
パーキンソン病 肢体 障害厚生年金3級 40代
気分変調症 精神 障害共済年金3級 30代
統合失調症 精神 障害厚生年金2級 50代
うつ病 精神 障害基礎年金2級 20代
双極性感情障害 精神 障害厚生年金2級 40代
軽度な知的障害⇒発達障害 精神 障害基礎年金2級 40代
高次脳機能障害 精神 障害厚生年金3級 50代
化学物質過敏症 その他 障害基礎年金2級 50代
胃がん その他 障害厚生年金2級 40代
乳がん その他 障害厚生年金3級 30代
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